シラバス参照

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講義名 子ども学研究特講B(子ども学特講B)
(副題) 大学院子ども学研究科 修士課程
講義開講時期 後期 講義区分 講義
基準単位数 2
校地 小平

担当教員
氏名
◎ 本山 方子
無藤 隆
宮川 健郎

授業科目の位置づけ/目的 【大学院】修士課程科目
子どもと文学(宮川担当)。
  子どもにとっての文学の意味や、子どもたちと文学の出会いをどのように作るかなどについて考えます。
これらを考えるために、子どもの文学(児童文学)の歴史を学んだり、子どもに手渡したい作品を読んで研究したりしていきます。

幼児教育・保育(無藤担当)。
 子ども学のうち、特に幼児教育・保育およびそれと関連する小学校低学年教育のあり方について論じる。2017年の要領・指針の改訂を受けて、その考え方をさらに深化させていくとともに、より広い思想史的な展望を開きたい。
授業科目の到達目標 宮川担当
・子どもにとつての文学の意味を考えることができる。
・子どもたちと文学の出会いをどのように作るかを考えることができる。
・子どもの文学(児童文学)の歴史について理解することができる。
・子どもに手渡したい作品を見出すことができる。

無藤担当
 子ども学の中で、保育学またその周辺の子どもの育ち・学びのあり方、さらに幼児教育から小学校教育へのつながりについて、現行の考え方を理解し、さらに今後への展望を考えるようになること。とりわけ、子どもの権利のあり方、乳幼児の発達的特徴、幼児期と学童期の学びのあり方の変化について、理解を深めること。それらを個々の学生なりにまとめて整理して文章化すること。
授業の概要 宮川担当
 子どもを読者とする文学は、「児童文学」と呼ばれます。まず、「児童文学」とは何か。「絵本」や「紙芝居」とはどうちがうのか。あるいは、「昔話」などとは、どうちがうのか。
 児童文学は、どのようにしてはじまり、どのような歴史をもっているのか。日本の児童文学について考えていきます。
 特に幼い子どもたちを対象とする幼年文学は大切です。幼年文学の歴史と現在についても学びます。幼い子どもと文学の出会いは、読み聞かせなどの「声」によって作られます。読み聞かせの意義と方法についても考えます。

無藤担当
 要領・指針の考え方の基本を解説した後に、それらを深め、広げるために何を考慮し考えたら良いか。その新たな視点を無藤の論考を紹介しつつ論じる。幼保の実践現場の実践のあり方を想定しつつ、その理論化を図る試みをするので、その点についてさらに討議を通じて深めたい。なお、各回のシラバスは議論の深まりに応じて、前後の回にずれることがあり得る。
授業計画と授業内容
内容
第1回オリエンテーション。
まず、「児童文学」とは何かについて。「絵本」や「紙芝居」や「昔話」とどうちがうのか。
第2回日本の児童文学のはじまりと、その歴史について。
第3回日本の児童文学の現在について。
第4回幼年文学のはじまりと、その歴史について。
第5回幼年文学の現在について。
第6回子ども読者について、どのように考えることができるか。
第7回子どもたちへの読み聞かせの意義と方法について。
第8回まとめ。
第9回幼児教育・保育を考える上で、特にその方針としての要領・指針の作成や研究と実践との関連を巡って、無藤の経験を交えて、論じる。実践、研究またそのエビデンス、行政的方針、等の相互的な関係のあり方が距離を取りつつ、循環するものであり、その中で、実践的な志向の研究がそれらの関係を媒介することを論じる。
第10回幼児教育・保育を考える上で、特にその方針としての要領・指針の作成や研究と実践との関連を巡って、無藤の経験を交えて、論じる。実践、研究またそのエビデンス、行政的方針、等の相互的な関係のあり方が距離を取りつつ、循環するものであり、その中で、実践的な志向の研究がそれらの関係を媒介することを論じる。
第11回幼児教育の園としての空間的なあり方とまたそこで保育が展開するプロセスとしてのあり方を論じる。そこでは保育が進んでいくことを通して、そのプロセスが子どもが周りの物・人・ことを好きになり気付いていく過程としての「愛と知の循環」が生じ、次第に身近な環境の背後にある諸々の世界への展望が成り立つことを幼児教育の核とする。
第12回特に幼児教育の空間のあり方を子どもの幸せと面白さが成り立つこととして捉え、その環境構成のあり方を論じる。そこでの学びと探究がそこから生じていく。
第13回保育をする保育者はどう感じ、どう考え、どう保育を振り返り、進めていくのか。そこで成り立つ相互主体的関係から論じる。またその改善・改革における生成的な運動体を可能にする進め方を説明する。
第14回幼児教育から小学校教育への移行はどういう特質を持つのかを、特に学びの自覚性、仮想的協同性、等の観点から論じる。低学年教育のあり方についても「知の世界化」という観点から触れたい。
第15回これまでの議論の補足を行う。質疑を通して議論を深めたい。
授業外における学習について 宮川担当
【予習】毎回の授業は、いくつかの作品をとりあげながら行います。とりあげる作品は、あらかじめお知らせしますから、図書館等でさがして、かならず読んでおいてください。(所要時間:2時間)
【復習】毎回の授業内容をふりかえりながら、とりあげた作品をもう一度読み直してください。(所要時間:2時間)

無藤担当
 その都度に指示する参考文献を読んでおくこと。各回所要時間は各自のこれまでの専門等により変わる。おそらく2時間以上は掛かるであろう。
 なお、当日の講義については見直しを行い、次回の講義に備えること。また疑問点などを用意し質問を行うこと。おそらく1時間程度で済むだろう。
成績評価方法と評価基準 宮川担当(50点)
【評価方法と割合】授業期間中に2回ほどの小レポートと、まとめのレポートを提出してもらいます。
それらのレポートの評価が70%、毎回の授業への出席状況と参加の姿勢の評価が30%。毎回の授業ではレスポンスシートを提出してもらいます。
【評価基準】授業の到達目標に照らして評価します。
【フィードバックの方法】授業のレスポンスシートやレポートの内容については、授業中にコメントして、対話的な授業になるように心がけます。

無藤担当(50点)
①質疑の時間における活発な参加とともに、レポートでの評価を行う。
②レポートの評価を8割、質疑への参加を2割とすることをメドとする。
③レポートは、講義した内容と参考文献からの理解を元に、その内容を文章として表現するとともに(5割)、自分なりの検討を加え発展できたかどうか(5割)を基準とする。
④課題に対するフィードバックは、レポートにコメントを加え、返却する形で行う。なおコメント自体はメールで各受講者に伝えることもありうる。

テキスト 宮川担当
 大阪国際児童文学振興財団編『ひとりでよめたよ! 幼年文学おすすめブックガイド200』(評論社2019年)

無藤担当
 現行の幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、小学校学習指導要領、を持参のこと。冊子でもプリントアウトでも差し支えない。
参考書・参考資料 宮川担当
 宮川健郎著『現代児童文学の語るもの』(NHKブックス1996年)

無藤担当
 その都度指示する。
連絡先(メールアドレス) 宮川:basyabetto@jcom.home.ne.jp

無藤:mag00145@nifty.com