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講義名 【閉講】人間学演習
(副題) 大学院子ども学研究科 博士課程
講義開講時期 後期 講義区分 演習
基準単位数 2
校地 小平

担当教員
氏名
◎ 首藤 美香子
松田 佳尚

授業科目の位置づけ/目的 【大学院】博士課程科目
 人間理解の方法は心理学に留まるものではなく、人間をめぐる諸問題の解決もケア、教育、福祉、臨床の枠組みや手法に限るものではない。人間学では、「人間とは何か」「人間性とはいかなるものか」という根源的かつ本質的な問いを掲げ、時代・社会・日常のなかで「人間はどう生きるのか」「人間にとって生きる幸せや喜びとは何か」を探究する。特に、2020年度は、人間理解の視点として「感情」に着目したい。近年、「感情」研究の進展は著しく、心理学のみならず脳神経科学、進化生物学、哲学、社会学、文化人類学、歴史学など幅広い分野において、既存の知の壁を突き破る新たな可能性を秘めた主題となってきている。よって本授業では、海外を中心に「感情」研究の先端を参照しながら、人間理解の一歩としたい。
授業科目の到達目標 1 人間と人間社会に対する学問的な問題意識を育む
2 人間に関する客観的・科学的な研究方法を学ぶ
3 脳と心に関する基礎的な知識を得る
4 「感覚」・「感情」・「情動」に関する考察を深める
5「感情」の視点から人間理解の新たな方向性を見出す
授業の概要  授業の前半は、自然科学の立場から人間の「感情」にアプローチする。感情は主観的な側面が強い一方、客観性を重んじる自然科学において、いかに研究されてきたのかを概説する。その上でまず、研究の方法、周辺領域の用語の整理、感情の生物進化、神経整理メカニズムなど、生物学的な基礎知識を共有する。実際、脳に障害があったり損傷したりすると、感情は大きな影響を受けることがある。そのため精神疾患や依存性薬物と感情についても概説する。感情表出や知覚には個人差があるため、遺伝子による違いや社会性による違いについても最新の知見と合わせて紹介する。
 後半は、思想・歴史・文化の側面から人間の「感情」にアプローチする。その場合、生物学的に基礎づけられた身体の直接的・自発的な反応、人類共通に見られる情動は対象としない。というのも、人々の〈喜怒哀楽〉、〈罪悪感と恥辱感〉、〈怒りと攻撃性〉、〈嫉妬と羨望〉、〈自尊心〉、〈幸福感〉などの表出において、何が容認・評価され、何が忌避・抑制されるかは、その時代や地域社会の慣習や制度、科学文化、人間関係が前提とする価値や意味の体系により可変的かつ多様であるとの構築主義の立場に立つからである。よって後半では、歴史歴史社会における感情表現の様式と変容の諸相を俯瞰するために、「感情」に関する代表的な文献(英語論文など)を精読する。このようにして、言葉や行動で定位されにくい些細なやりとりや身ぶりの裏にある<気持ち>に接近することで、人々の生の痕跡を丁寧にたどり、人間理解へとつなげたい。
授業計画と授業内容
内容
第1回感情の研究方法
第2回感情の進化
第3回感情の神経整理メカニズム
第4回感情と脳

第5回精神疾患と感情
第6回薬物と感情

第7回感情の個人差
第8回言葉・概念と感情
第9回道徳・規範と感情

第10回政治・権力・共同体と感情
第11回身体と感情

第12回ジェンダーと感情

第13回大人―子ども関係と感情

第14回児童文学と感情
第15回まとめ
第16回 
第17回 
第18回 
第19回 
第20回 
授業外における学習について 各回とも受講生は指示された、あるいは自主的な勉学の成果を持ち寄ることが求められる。
成績評価方法と評価基準 発表や質疑への参加、及び最終レポートをもとに総合的に評価する。【フィードバックの方法】授業内の活動については適宜コメントやリプライを行い、レポートの評価を伝える。
テキスト 適宜紹介する
参考書・参考資料 適宜紹介する
連絡先(メールアドレス) matsuda@shiraume.ac.j
suto.mikako@shiraume.ac.jp